シーシェパードの話題が最近少し下火になったと思ったら、今度は、日本のイルカ漁を描いたドキュメンタリー映画「The Cove」(ルイ・シホヨス監督)の日本での上映を巡って議論が起こっています。この映画は、和歌山県太地町の伝統的なイルカ漁を「隠し撮り」したもので、当然、地元では猛反発が起きており、また「民間団体」などが「反日的」に過ぎるとして上映反対運動が起きています。一方、上映賛成派は、「言論の自由」があるのだから上映を禁止するのは不当だ、映画を見た人がそれぞれ判断すればいい、ということのようです。僕もまあ一方的に上映を禁じるのは良くないと思いますが、「盗撮」したものに「表現の自由」が認められるかどうか、そのあたり疑問に感じます。

それにしても、欧米人(の一部)のクジラやイルカに対する思い入れには、どうも釈然としないものがあります。「イルカやクジラを殺して食べるのは残酷」などと、日常的にステーキやチキンをタラフク食らっている白人達には言われたくない、というのが多くの日本人の思いでしょう。

以前、日本に住むジャイナ教徒の女性の生活を取材したTV番組を見たことがあります。ジャイナ教徒はアヒンサー(不殺生)という戒律を厳守します。インドから来たというその女性は、全ての食材に一切の動物由来の成分を排除していました。驚いたのはジャガイモなどの根菜もダメなことです、理由は、地面から抜くとき土に小さな微生物が付着しているからだそうです。これくらい「不殺生」を徹底している人から、「イルカやクジラを殺して食べるのは残酷」と言われれば、我々は皆その主張に耳を傾けはするでしょう。

所詮、他の生き物を殺して食べるのは人間の「(ごう)」のようなもの。でも心がけたいのは、食べる以外の動物を極力殺さないように努めること、その「業」に時々思いを致しコウベを垂れること…、そういうことだと思います。

自分の「業」は見て見ぬふりで他者の非をあげつらうなどという姿勢は、最近「活躍」が顕著の「環境テロリスト」、「エコテロリスト」に通底するものがあります。くわばら、くわばら、です。

最後に。こうした欧米人の主張の背景には、牛やブタは神が食べることを許したもうた動物であるとするキリスト教的思想背景があるようです。しかし一方で、イエスはこうも言っているではありませんか。「罪なき者、石もてこの女を打て」と。