「このブログを始めたわけ」については、以前書きました。でも、そもそもなぜハンコ屋を始めたんですか?と最近よく知り合いから聞かれます。さてなぜなんでしょう?僕は出版を生業(なりわい)として営む者です。今でも収入の大半をハンコではなく書籍の販売から得ています。大学を出てすぐに出版社に就職して、そこで営業と編集を経験、そして9年目に脱サラして独立。立ち上げたのはもちろん出版社〔それしかできない(^^ゞ 〕 そして現在に至ります。(※出版社は古くからある会社ですがほとんど「休眠中」の状態でした、僕はそれを引き継いだかたちですが、実質立ち上げたのと変わりません)

子供の頃から本の虫で、暇さえあれば本を読んで過ごしました。大学も迷わず文学部。親は反対しましたが今となっては自分の選択は正しかったと思っています。出版は僕にとって「天職」だと信じて、疑ったことはありません。

そういうわけで出版がメインなのは今も変わりませんが、ここ数年はハンコ屋に面白みを感じています。出版にはないものがあるからです。例えば自分の造ったものを提供してお客さんの反応がじかに見られる近隣のコミュニティーとの関係がうまれる・・、ことなど。出版の場合は、書店で本が売られるため、一部の例外を除いてお客さんの顔が見えません。販売は書店、出版社はメーカー!という姿勢です。それから、これは一番大きいのですが、ちゃんと商売が成り立てば日銭が稼げる(笑) 出版は企画・立案から編集、販売、そして回収までのサイトが長すぎて、常に資金繰りを圧迫します。

反面、出版とハンコ屋の共通部分もあります。その最大のものが「もの作り」ということでしょう。良いものをつくる、それが評価される、それは最大の喜びです。次に挙げられるのは「」へのこだわり。書籍の編集で培った感覚は印章でも当然生きてくると思います。また、印章は「漢字」をメインで扱うため、この世界に入って、「漢字」の美しさや歴史のことを新たにたくさん学びました。共通部分は他にもあります。従業者が「職人肌」のところ。出版社でも編集・製作方面の人員は決まって「職人肌」です。うるさいくらいに細かく丁寧で、気むずかしい人が多いです。これはハンコ職人にもよく見受けられる性質だと思います。

しかし以上は、今になっての「後付け」の理由かも知れません(笑) 実際には、「活字離れ」「出版不況」の砌、出版業も先が決して明るくないので何か新規事業を探していた、ということはあります。出版社として印刷機やDTPソフトなどは最低限持っていますから、以前から近隣の人・会社にチラシなどの印刷物は提供していました。それが発展して店舗となり、印刷物だけでは商材が不足なのでハンコをくっつけたというのが正直なところです。

しかしやり始めてみると、ハンコの世界は実に奥が深いです。印刀をつかった印章彫刻の技術・毛筆で美しい字を書く技術を現在学んでいますが、先人の作品を見ると自分はまだまだです。出版では経験・技術共にほぼMAXに達していますから、新たなことを学び始めたことは、生活に張りが生まれてこれも良かったことの一つです。僕が、彫刻技術の学べないFC店(フランチャイズ店)に安易に加入するのではなく、独自店舗路線を取った大きな理由の一つがここにあります。

さて、どこの会社でも商売をしていると「新規事業」ということはその内必ず案件として出てきます。僕にとっての新規事業の条件はこれまでも、これからも、二つだけです。「出版とつながっていること」「もの作りの業種であること」です。たとえば「もの作り」といっても「弁当屋」では、頭を完全に切り換えねばならず、どうも具合が良くありません。「出版」と「弁当屋」が阻害し合ってしまう事態となりかねません。数年来ずっと僕は「新規事業」についてあれこれ考えを巡らしてきましたが、なかなか上記2条件を両方満たす業種というのは多くないです。そして「印章業」は僕にとってそれを満たす数少ない業種の一つなのです。

以上のようなわけで、ここしばらくは、「出版」「印刷」「印章」の三本柱でやっていきたいと思っています。一つの柱における技術の向上が、他にも好影響を及ぼすなかなか良い組み合わせで、しかも世の中にあまり見られない絶妙(笑)のトリオと自負しております(笑)

それから、最後にこれは特筆!しておきたいのですが、様々なはんこ屋さんとの出会い。ちょうど僕と同じくらいの歳のはんこ屋さんの2代目、3代目の人達と出会うことが出来、飲みに行ったり、旅行に行ったり、技術面では切磋琢磨させていただいております。これも大変良かったことの一つ。

そのようなわけで申し述べるのが遅くなりましたが、以上が僕が「ハンコ屋を始めたわけ」です。今後ともよろしくお願い致しますm(_ _)m

もしよろしかったらツイッターもフォローお願いします。(必ずリフォロー致します)
http://twitter.com/stamprint