「いつも行っていた近くのハンコ屋が無くなっちゃって・・・」、そんな話を当店にいらっしゃるお客さんからよく聞く。確かに全国で、街の印章店がだんだん姿を消しているようだ。残念ながらこの傾向は今後もしばらくは続くものと思われる。その理由をいくつか挙げて、最後に「印章店生き残り」についての僕の意見を付け加えてみたい。(この「街の印章店」にはFC(フランチャイズ)店は含めないものとする。その理由は以下を読んで頂ければ自ずと理解して頂けるものと思う)

【街の印章店が姿を消す理由その1】

「早い、安い」のネットショップに顧客を奪われている。近年のデフレの浪に飲み込まれている。また地域の商店街の衰退。シャッター通り、過疎化の問題。

【街の印章店が姿を消す理由その2】

後継者問題。跡継ぎがいない、育たない。

【街の印章店が姿を消す理由その3】

パソコンの普及と家庭用プリンタによる印刷技術の向上。昔はハンコ屋の仕事だった名刺やハガキの印刷が、今では個人でも品質にこだわらなければ、自前で出来てしまう。

ではどうしたら、このような時代に印章店として顧客に満足して頂ける商品を提供し、商売を継続し、利益を上げることができるのか。

【対策その1】

印章に関する正しい知識の普及。美しい文字に対する感覚もなければ、印刀を使って自らの手で彫刻する技術もない、機械彫りオンリーの「印章店」が増えている。ネットショップしかり。フランチャイズしかり。昨日までサラリーマンをやっていた人が数日?数週間の「研修」を受けて独立。「こちとらハンコ屋でござい!」。長い年月をかけて技術を磨く職人にとっては信じがたい話。機械彫りオンリーのハンコを「手彫り」と称するショップの横行。悪貨が良貨を駆逐している。美しい文字に対する感覚がないのだから、機械を使っても良いものが出来るはずもない。これなら安くて当然。(しかし顧客の多くはそうした事情を知らない)

【対策その2】

「技」のさらなる向上とそのアピール。こうした即製ハンコの安易な手合いに対抗するためには、さらに腕を磨いて「差別化」をはかるしかない。せっかく高い技術を持ちながらも、それをPR出来ていない印章店が多い。技をアピールするためにはインターネットは最大の武器になる。印刷技術についても同じ事が言える。

【対策その3】

正しく商売する。「このハンコで幸せになれます」というような「開運印鑑」的商売をしない。実証できないものをあたかも真実であるごとく装うのは詐欺的である。印鑑では、幸にも不幸にもならないという事実を、世間にきちんと伝える努力をする。

【対策その4】

「昔ながらの職業だから世の流れに合わせる必要はない・・・」と言える時代は過ぎ去ったのかも知れない。超然的姿勢から、時代の流れのまっただ中に身を置くべし。印章店も変わる必要があるかもしれない。新たな商材、独自のやり方、斬新な考え方…何事も模索、試行錯誤!