中日の落合監督が今期限りで監督を退任することになった。中日ファンであると共に昔からの落合ファンである僕にとっては、極めて残念なニュースであった。

落合監督は今年で8年目。監督としてこの8年間にリーグ優勝3回、53年ぶりの日本一1回(※注)というすばらしい実績を残した。しかもその間ずっとAクラスを維持。それでは何故、こんな優秀な監督である落合をフロントは首にしたのか? 「新しい風」を入れたいという表向きの理由とは別に、中日OBを重視しない落合の「外様」中心のコーチ起用にOBが以前から反感を持っており、今回の落合解任劇はOB達の「巻き返し」の狼煙(のろし)であるともささやかれている。その証拠に、落合の後任にはOBの重鎮、高木守道氏が決まっている。(70歳の高木氏が「新しい風」なのだから笑ってしまうが・・・。)

このようなフロントの人事に、多くの中日ファン(特に若いファン)が憤りを感じていることは、ネットの掲示板の類で多く確認できる。若いファンは「強い落合中日」の思い出と共に育ってきた世代であるから当然である。では、落合を嫌っているのは誰なのか? 落合のせいで球団のポストにありつけないでいるOBは言わずもがなであるが、実はそれは、高齢者マスコミなのである。僕も名古屋で生まれ、中学・高校までそこで過ごした経験があるのでよく知っているが、名古屋は保守的で排他的な土地柄である。高齢者にとって、東北出身の落合は、たとえ数年チームに在籍していたとはいえ、「よそ者」なのだ。今回の高木守道新監督をもろ手を挙げて歓迎しているのは、主にこの世代である。

そして、いつでも、どこまでも駄目なマスコミの連中。試合後の無愛想な落合のコメント(しかもコメントを取れないことも、しばしば)に、永く業を煮やしていた彼らは、「ファンサービスをしない落合のせいで客が離れた」とネガティブキャンペーンをはり、解説者として番組で起用するOB達からなる新内閣発足を、表に裏に手助けしたのである。(殆ど「私怨」の世界ではないか・笑)

だが、ココは強調しておきたいが、お客をたくさん球場に呼ぶのは、監督の仕事ではない。球団の営業がやればいいことだ。監督の仕事とはただ一つ、チームを勝利に導くこと以外にはない。そして落合はその「唯一」の仕事をきっちりとこなしたのである。確かに来場者数は減少傾向にあると聞いているが、それは他所の球団も同じである。今は巨人・大鵬・卵焼きの時代ではない、野球のTV中継は少なくなっている、サッカーだってある。趣味もライフスタイルも多様化している。来場者数の減少が全て落合のせいであるとは、到底思えない。

ならば、中日の経営陣のみならず、全国の中日ファン、野球ファンに問いたい。高木守道氏で客が呼べるか? 呼べるわけがない。さらに僕は断言する、高木氏で勝てるわけがない。毎年中日と優勝争いを繰り広げる阪神や巨人の関係者はこの人事に大喜びだろう。高木氏は、まだペナントレースが終了していないにもかかわらず、(しかも、中日がヤクルトと熾烈な首位争いをしているにもかかわらず)、来期監督就任が内定するやいなや、早速地元テレビに出演し、来期の構想についてぺらぺらと持論を開陳した。ファンサービスの充実、OBの重視・・・等々。さらにはMLBで今期不振のイチローに触手を伸ばし、イチローの父に電話したことまでニュースになっている。おそるべきKYであり、指導者・監督としての適性を疑わざるを得ない。しかもなんと自分を次の若い監督への「つなぎ」と公言しているのである。(高木さん、あなたは二塁手ではなかったのですか?・笑)

たしかにその年齢から言っても、高木監督は2年?3年の短期政権で、その次は、地元で人気の高い立浪和義氏、あるいは他の人物へバトンタッチするであろうことは、誰もが予想している。だが、たとえそれが事実であるとしても、自らテレビで「つなぎ」などと公言するなど、勝負師として失格である。チームの選手達の誰が、腰掛けの「つなぎ」の監督に心底ついて行くものか。他所のチームからは、「つなぎ」の監督として軽んじられるに決まっている。「つなぎ」でも「つなぎ」でないふりをするのがまっとうな監督のとるべき態度であり、落合が同じ立場になれば必ずやそうしたであろうことは確信をもって言える。

高木氏が監督として有能とは言えないことは、以前監督をやった時に既に証明済みだ。だが高木監督にとってラッキーなのは、落合が育てたセ・リーグ最高とも言われる投手陣を引き継ぐことだ。野球の勝負は、最後には投手力で決まる。高木氏も短期政権ならば、この投手陣のお蔭で、Bクラスに転落することはないかも知れない。だが、チームをさらに強くするとか、球団に「新たな風」を吹き込むとか、そんなことは出来っこない。そもそも僕には、高木氏がなぜ今の中日を引き継いで、「自分に監督が出来る」と思いこんでしまったのか、彼の心情が不可解きわまりない。誰かに焚き付けられたか、おだて上げれられたに違いない。

どうやら、球団も、高木氏も、また落合退任を喜ぶ一部の中日ファンも、「勝つこと」より大切なことがあるらしい。僕にはそれが一番不可解だ。だが、これだけは予言しておこう。あと数年も経たないうちに、「あれは中日の黄金期だった、あの時はよかった!」と、8年間の落合中日時代を、皆が振り返るであろうことを。

ありがとう、落合監督。さらば、強かった「落合中日」(※注)。今年はリーグ優勝&日本一を達成して落合に最後の「花道」を!

(※注)この文章を書いたのは2011年のリーグ優勝する前なので最後の優勝がカウントされていない。結局落合監督は8年中4度の優勝を果たした。

(※注)因みに落合は「落合中日」という表現を非常に嫌っている、チームは選手が中心だから、というのがその理由。