かつてフジテレビで放送された時代劇「鬼平犯科帳」(DVD)を、最近毎晩のように見ています。長谷川平蔵=鬼平役は、中村吉右衛門(2代目)。原作は作家のみならず、美食家としても知られた池波正太郎。そのせいか、番組の中でしょっちゅうグルメ談義が出てきます。それがまたことごとく美味しそう(ゴクリ) 江戸の小料理屋や居酒屋がよく登場します。鬼平は、盗賊を見張るときや、密偵や配下の者と打ち合わせをするときなど、いつもそうした店で酒を飲んでいます。(勤務中にこんなに飲んでも良いのか・笑) それからまだ若き日の色々な役者が登場するのも楽しみです。(多岐川裕美、蟹江敬三、江守徹など。同心の酒井祐助役は篠田三郎。僕にとっては子供の頃に見たウルトラマンタロウのお兄さんです。若い頃の坂口良子や竹井みどりもきれいだなー。)

考えてみると、この中村吉右衛門版「鬼平」って、バブルの末期に重なっているんですよね。(放送開始1989年7月) 20年前ですから「ふた昔」前、まだ携帯もパソコンも殆ど普及していない時代。時間がたつのは早いものです。

「鬼平」は良質なテレビ時代劇だと思います。盗賊にも憎めない人間がいたり、暗い過去があったり、罪人・役人、被害者・加害者、夫婦、上司・部下…、様々な人間模様が交錯して、そこにちょっとした「江戸情緒」や「グルメ」の話を添える、池上正太郎原作ならではの「深み」が出ています。晩年のエッセイなどを読むとよく分かりますが、江戸っ子の池波は何より「粋(いき)」という言葉に代表されるライフスタイルを重視しました。「野暮」や「無粋」はNG、そのことがよく表れているドラマだと思います。主演の中村吉右衛門は、池波からの直々の出演依頼で実現したといわれるだけあって、まさに「はまり役」。「火付け盗賊改め方長谷川平蔵である。おとなしく縛に付けぃっ!」 ウーン、しびれます。鬼平役は外に、丹波哲郎、萬屋錦之助などもやっているんですね。中村吉右衛門が終わったら、見てみたいです。

「鬼平」に比べると、最近の時代劇の多くは人物設定が「満身これ善人」vs「絵に描いたような悪人」、ストーリーも毎回お決まりで単純すぎるきらいがあります。基本パターンは「大黒屋、そちもワルよのう・・・」「へっへ、お代官様こそ」(笑)。時に「大黒屋」が「越後屋」になったり、「代官」が「家老」になったりするだけです。まあ、こうしてパターン化することによって、製作する側にとっては何十種類、何百種類のストーリーを容易に作ることが出来、見る方もお決まりのパターンである種の「安心感」が得られるのでしょうけど、悲しいかな「深み」がありません。

最後に。番組で描かれる昔の司法制度は、恐ろしいです(笑) 鬼平の胸一つで「死罪」「流罪」、時には「お目こぼし」。「警察」も「検事」も「裁判官」も「機動隊」も「刑務官」も全部兼ねちゃってるし(^^ゞ おまけに被告に「弁護人」はつかず、口を割らせるために平気で拷問(笑) この点では現代に生まれて良かったかも。もちろん僕はいつの時代に生まれても、司直のやっかいなんかにならないつもりですが、こればっかりは「冤罪」ということもありますのでね・・・。それから、番組のテーマ音楽に使われているジプシーキングス「インスピレーション」もギターの音色に哀愁が漂っていて、よく話の内容と合っています。

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